2.デセプション・ポイント ダン・ブラウン(角川書店)
「ダヴィンチコード」のラングドンシリーズ作者の軌跡
ダヴィンチコードをご存知の方は多いと思います。象徴学者がキリスト教や美術史を手掛かりに謎を解く大人気シリーズです。
本作の作者は、その有名作品と同じダン・ブラウンです。
シリーズ4作「天使と悪魔」、「ダヴィンチコード」、「ロスト・シンボル」、「インフェルノ」を読んだ私は、図書館で最新作「オリジン」の順番を待っている間に、たまたま見かけたこの別作品を読んでみようと手に取りました。
いつもとは少し趣が変わり、NASAの宇宙開発や米国大統領選挙が話の中心になっています。
いつも通り、専門性の高い科学知識から繰り出されるストーリーは「本当に現実に起こりうるかもしれない」というリアリティを読者に感じさせてくれます。
作者の詳細な研究からもたらされる細部に宿る蘊蓄は、ラングドンシリーズではなくとも健在で、十分に知的好奇心を刺激してくれます。
最近は民間の宇宙開発も進んできた感がありますが、「なぜロケットに広告を載せてはいけないのか?」「NASAはアメリカ国民の誇り?それとも実はお荷物?」「政府がUFOの存在を否定しないのはなぜか?」「隕石とは何か?」「宇宙に生物がいるとしたら」などなど・・・
ストーリーも例に漏れず手に汗握る展開で、ページをめくる手が本当に止まらなくなります。
良くも悪くも展開は既存作と似ているところはありますが、ファンなら十分に楽しめると思います。(というか、この作者のもっと色々なシリーズを読んでみたくなります)
「デセプション・ポイント」欺瞞の極点 ぜひご一読ください。