僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか? 木暮太一
「働き方2.0 労働における新しい視点」
薄々気づいていたことですが、「会社は社員を幸せにするためにあるのではない」ということをまざまざと突きつけられた本です。
会社は元々、株主の利益追求が存在意義です。
もちろんそれが悪いわけではありません。(僕らも株主になれますし、その過程が社会全体で見れば恩恵を受けることも多いです)
ところで、そんな中で一個人として生きる社員は、一体どうすればいいのか。
「頑張って昇進して自己実現を果たすのが本当に正しいのか?」
そんな問いに本書は新しい視点から答えてくれています。
結論から言うと、
「考えて働け!」
と言うことです。
ここで言う考えるとは、
①労働による消耗を最小化すること
②労働の効率を最大化すること
です。
私たちの労働の目的は給料です。その対価が働く時間と労力です。
それを差し引いてもプラスがあるから、我々は働くという選択をしているわけです。
一方で、会社側はできるだけ社員を働かせたほうが利益が出ます。
ということは、我々はできるだけその消耗を少なくして、差し引き後の残高が残る働き方をすることが一案です。
この本で提唱されている中で目を引くのは、以下の主張です。
・労働力を「消費する」のではなく「投資する」 何の積み上げにもならない仕事、無駄な仕事は極力減らし、自分の土台を形作る仕事を増やす
・目先のキャッシュではなく、長期的な資産を作る仕事をする
・精神的苦痛の少ない職業につく
・スピードが早い携帯業界などは知識もすぐ変わる。あえて斜陽産業で働く
・できるだけ疲れない仕事のやり方で省エネを心がける
これらは消耗を抑え、労働効率を上げるために重要な視点です。
どうしてもサラリーマンは、ある程度は会社に流されて働かざるを得ない、というより大部分がそうかもしれません。
しかし、そんな中でも泳ぎ方を変えることはできます。
できるだけ無駄な消耗を抑え、効率の良い働き方をすることができれば、我々はもっと幸せになれるはずです。
「資本論」でカールマルクスは19世紀に、「資本主義社会の中では労働者は搾取され続けて豊かになれない。だから労働者は革命を起こせ」とまで言いました。
現代から見れば大袈裟に映りますが、
21世紀に生きる我々は、まず資本家と比べて自分達が不利な立場にいることを自覚し、その中で広い視野を持って、自分が労働を含めたこの人生で何を求めているのか、今一度立ち止まって考えてみてもいいのではないでしょうか。