1.フランス史10講 柴田三千雄 (岩波新書)
最近よくヨーロッパの各国史を10講の講義形式(?)で学べる本をよく見かけます。
今回はそのフランス版です。
フランスといえばヨーロッパの代表的な国の1つであり、世界6位のGDPを持つ経済、芸術や美食など文化面でも我々日本人にとっては憧れの国なのではないでしょうか。
そんな国の歴史を学びたい学生はビジネスマンは多いはず。私もその1人でした。
本書は、紀元前から近現代まで229ページでまとめられています。
10講それぞれにテーマがあり、時代が徐々に進んでいくため、通史としてざっと流れを理解することはできると思います。
第1講:フランスの始まり
第2講:中世世界とカペー王国
第3講:中世後期の危機と王権
第4講:近代国家の成立
第5講:啓蒙の世紀
第7講:革命と名望家の時代
第8講:共和主義による国民統合
第9講:危機の時代
第10講:変貌する現代フランス
ただ、政治体制や政党など多少専門的な内容もあり(特に近代以降)、全くの初心者がこの本から入るよりは、先にヨーロッパ全体の大まかな歴史を知ってからの方がいいと思います。先に読んだイタリア史10講の方が読みやすく感じました。
以下は私の読書メモです。
- フランク族がガリアの統一に成功したのは、西ローマ帝国滅亡後のローマ教会とコンスタンティノープル教会の主導権争いのため。ローマ教会が有力な権力者との結びつきを模索していた。(フランク王家メロヴィング朝クロヴィス→のちにカロリング朝)
- 12世紀のカペー朝(フィリップ2世〜)とプランタジネット家(アンジュー帝国・イングランド王ヘンリ2世〜)の抗争。フランス王の臣下でありながら、カペー家をはるかに凌駕する広大な領地を持ち、かつイングランド王の継承者となったアンリ(ヘンリ2世)。結果としてはフランス王家が代々プランタジネット家の力を削ぐことに心血を注ぎ、大陸側の所領の大半を失わせた。→カペー朝のフランスはヨーロッパ政治の中で第1級の地位を占めた。
- 後継が生まれ続けた「カペー家の奇跡」が終わり、王位継承問題からイングランド(上記のフランス領主)と百年戦争(1339〜1453年)が勃発。→イングランド王領はフランス国内からほぼ消滅、封建領主は没落し王権集中が加速
- 三十年戦争(1618〜1648年)ウェストファリア条約 ドイツの領邦君主間の宗教戦争(カトリック・プロテスタント)に各国が介入 → ハプスブルク家とブルボン家の対立 結果として神聖ローマ帝国の解体につながる。・・・三十年戦争の経過や詳細については小説 聖餐城(皆川博子)が分かりやすく面白いと思います。ぜひ読んでみてください。
- フランス革命と第一帝政はフランス史の中で一つのブロックをなしている。ナポレオン成功の最大の理由は、強力な政府を望むフランス社会の要請に、その権威主義的な個性と壮大な野心がマッチしたことにある
ご興味があればぜひみなさんも読んでみてください。